買ってよかった Part2

1現在55才(当時42才)

 40歳を過ぎた私には、20歳になろうとする長女と、
歳が離れて生まれた7歳の次女がいました。

 子供が大きくなり、アパート住まいより、ペットなどが
飼える庭付きの賃貸住宅を探そうと不動産屋さんを訪問
しました。

 子供たちも、自分の部屋が独立して持てるとばかり、
妻と4人での賃貸住宅探しです。

 賃貸住宅であれば、家族構成や生活の様式の変化に合
わせて、いつも便利で、好きなところに住めると私たち
夫婦は漠然とそのようにイメージしていたようです。

 田舎に帰れば、広々とした土地を持っており、定年に
なったらそこに家を建ててのんびり過ごそう、という
構図が無意識のうえに出来上がっていたようです。

 さて、不動産屋さんに行きますと、たくさんの賃貸
物件があり、どれにするか迷ってしまうほどでした。

 所得もまあまあありましたので、家賃も8万円、上限
10万円を考えていましたが、新しくて広々とした賃貸
住宅が数件ありました。
 
 この間取り図を見ていますと、「お客さん、どうして
賃貸物件を探しているのですか、売買物件にいいのが
ありますよ」と声を掛けられました。

 「田舎に家も土地もあるし、定年になり年を取ったら
田舎に帰ればいいですから」と、漠然と考えていたこと
を何気なく口にしてしまいました。

 「今から15年として、上のお姉ちゃんが35歳くらい、
下の方が22歳で大学を卒業する年齢になりますが、
お嬢さんたちはその田舎に帰りますか」と娘たちに
聞いてきます。

2

 「とんでもない、あんな田舎に行くのなら死んだ方が
いい」と娘二人は過激なことを言います。

 今まで家族で話さなかった対話が、ここでは何の抵抗
もなく進んでいきます。

 「60歳過ぎて子供さんを都会に置いて、夫婦二人だけ
は田舎に帰り、それから10年、70歳になって介護が
必要になった時に、お父さん、お母さんは都会に出てきて
賃貸住宅に住むのでしょうか、お嬢さんたちは45歳と
32歳になっていますね」。

「ワアー、私たち御婆ちゃんじゃん」と大声を出して
笑っています。

 「2,500万円の中古住宅と買うとして、借入金が
2,000万円だと、月々の返済が10万円、ボーナス時に
30万円くらいで持ち家が可能ですよ」。

 「第一、40歳代の働き盛り、ガン適齢期、心臓、脳障害
交通事故とご主人の前途には大変な危機が立ちふさがってい
ますよ。住宅ローンには生命保険が付いていますから、もし
ものことがあってもローンの残金は払わなくていいのですよ。
ご主人が働かなくて、8万円の家賃を奥様は払えますか。
持家を持たない家庭は、自動車保険に入っていない車を高速
で走らせるようなものですよ」と言われてしましました。

 妻が私の背中をパンと叩きます。
 
 不動産屋さんの予言どおり(?)に上の娘は32歳で結婚
して、同じ市内に住んでいます。

 下の娘は大学2年で自宅から通学しています。

 そろそろ、娘にも自宅の近くにマンションを買わせようと
思っています。

  「自動車保険に入っていない車で高速を走らせるような
ものだよ」と言って・・・。

3

 
 

カテゴリー: 現場からレボート パーマリンク