Q 延長敷地(※)に古家が建った土地の件です。現地の境界が一部
 不明ですが、不動産会社の方は「法務局の地積測量図があるから
 心配ない。また、古家付きの現況渡しだから測量はしない」と言い
 ます。価格が魅力で検討中ですが、不動産会社が言うように、ほん
 とうに問題はないのでしょうか

※間口が狭く通路のように路地状敷地部分の奥に建物が建てられるス
 ペースのある旗竿形状の土地



A 土地売買において、売主は買主に対して隣地との境界を明示して取
 引対象土地の範囲を明確にする義務(境界明示の義務)があります。



 また、取引条件が公簿売買であっても、同様に明示義務があります。



【公簿売買】取引面積を登記簿記載面積によるものとし測量の結果
 実測面積と相違しても売買代
金の精算はおこなわない売買方法。


【実測売買】測量の結果、登記簿面積と相違があった場合は、約定単価
 で売買代金の精算を行う。



 今回の場合、境界が一部不明ということですから、売主の負担で測量
 を行い、境界を確定してもらう必要があります。



 その結果、接道間口が2m未満であった場合は、建築基準法の規定に
 より建物の建築は許可が下りないことになります。(隣地の敷地所有者
 に接道間口が2m確保できるよう不足部分を借地できれば建築可能ですが
 現実的ではありません)



 購入した土地に建物が建てられないとすれば、あなたの目的が達せられ
 ないばかりか、将来、売却するときに買い叩かれることは目に見えてい
 ます。そうならないためには、売買契約締結前に測量を行ってもらい間
 口が2m以上あることを確認してから契約を結ぶ、もしくは契約後に測量
 を行うものの、その結果、間口が2m未満であった場合は、無条件解約と
 なる特約付きの契約にしなければなりません。



 また、地積測量図があるからといって、境界明示の義務を果たしたことに
 はなりません。地積測量図はあくまでも図面です。現地で境界が確認でき
 ない場合は、売主の責任で測量を行ってもらうのが原則です。



 さらに、現状(現況)有姿売買ということが、売主の境界の明示義務を免
 れる理由にはなりません。



 そもそも、現況有姿売買とは、契約締結後、引き渡しまでに売買目的物の
 状況に変化があった場合でも、売主は契約締結時の状況に復元・修復して
 引き渡す義務がないことであり、境界明示義務には何ら影響しません。



 本来、仲介業者は契約の本旨に従い、当事者双方がその契約の目的を達成
 できるよう配慮する義務があります。また、売買対象土地の範囲が不明確な
 場合は、その境界を明示し、買主の目的を達成させ損害の発生を未然に防ぐ
 義務があります。条件が整うまで契約は見合せた方が良いでしょう。