Q. 1ヶ月前に売買契約を交わし、一割の手付金を支払いました。
残金の支払いはまだですが、昨日、売主が倒れ意識不明の重体
に陥ったと連絡が入りました。
もし、売主が亡くなった場合、私との売買契約はどうなるので
しょうか?
A. 売買契約を締結してから引き渡しまでには。通常1〜3ヶ月程度
かかるのが通常です。
自分が亡くなることを想定して契約をする人はいませんが、いつ
どんな事態が起きるのかは誰にもわかりませ。
さて、今回の場合は、すでに売買契約は成立していますので、法律
的には売主の相続人が契約上の権利(代金の受領)と義務(物件の
引き渡し)を引き継ぐことになります。
そこで、買主としては、売買代金(残金)の支払相手がだれになるの
か確認をしなければなりません。
相続人の一人が「自分だけが相続人だ」などといって、売買代金の支払い
を要求してくることもありますが、その言葉を鵜呑みすることなく相続人
および被相続人(死亡した売主)の戸籍謄本の提出を要求するなど、相続
人の確定には慎重な態度で臨むことです。
その結果、相続人が複数の場合は代金の支払いは相続人の全員に対してそれ
ぞれの持ち分に応じて代金を支払うことになります。
それでは、相続人がいない場合もしくは相続人がすべて相続放棄をした場合
はどうなるのでしょうか?
この場合は、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、そのうえで
相続財産管理人に売買代金の全額支払いと引き換えに物件の引き渡し、およ
び所有権移転を請求することになります。
売主側は早急に相続人を確定させなければなりませんが、この作業が契約で
定めた引き渡し期日までに完了できない場合は、売主の事情も考慮して期日
を延長するなど譲歩することも大切です。
とはいえ、買主側においては引き渡し期日がを延長されることは想定外のこ
と。
もし、引き渡しが遅れることで買主に損害が発生するようであれば、お互い
話し合いで白紙解約とするのも方法です。
いずれにしても、お互いに手付解除を主張したり、違約金の請求をしたりと
法律を盾にするようなことだけは控えたいものです。