ネコと暮らし始めてかれこれ40年。
長生きした子もいれば半年足らずで脱走してそれっきりの子もいました。
人間と同じでみんなそれぞれ性格が違って想い出深いものがあります。
なかでもミィを家に招き入れたときの印象は強烈でした。
それは雨がしとしと降り続く夜のことでした。
家の外から聞こえる子ネコの鳴き声にいたたまれず、玄関を開け様子を見に行くと家のすぐ隣りの空き地に見慣れない段ボール箱がぽつんと置かれています。
直ぐに捨て猫だとわかりました。
雨に打たれた段ボールはかろうじて形を保っていますが、その隅っこで子ネコは体を震わせ必死に泣き続けています。
みたところ、まだ生まれて数ヶ月ほどのようで、このまま放っておけば死ぬのは間違いありません。
家には二匹の先住ネコが居ましたがこのまま見捨てるわけにはいきません。
「おいで」
段ボールの中に手を差し出すと、あろうことか子ネコはシャーと威嚇します。
ネコの本能かもしれませんが、自分が置かれている状況をわきまえよと言いたくなってしまいます。
念のため、手袋をして小さな体を掴むと骨格がわかるくらいガリガリでした。
当分は子ネコをケージで隔離することにしました。
子ネコは誰彼かまわず自分に近づいてくる者すべてにシャーと威嚇。
いったいどんな生い立ちだったのでしょうか。

鳴き声がニャーではなくミャーだったことで付けられた名前がミィ。
だったらミャーにすればと言われそうですが、そこは適当に受け流してください(笑)
しばらくすると環境に慣れてきたのか、警戒心はどこへやらこんな格好で寝そべることも。

ネコのくせに外の散歩が好きで夜になると連れてって~とミャーミャー泣くミィ。
ネコの散歩に犬のようにリードに繋ぐようなことは馴染みませんが、ミィの場合は違和感がありません。
外に出るときはたとえ我が家の庭であってもリードが必須でした。

写真ではその凶暴さは感じられませんが、散歩後に足を拭くときにその牙で思いっきり噛みつかれ病院に駆け込んだこともあります。
とにかく何をするにしても用心してかからないといけなかったミィ。
そんなミィもやがて甲状腺の病気でみるみるうちにやせ細ってきました。
治療の甲斐もなく18才の夏にあの世へと旅立ったけど、10年経ったいまもあのやせ細った体が目に浮かんできます。
ミィのかつての恋人だったスズは最後にミィが倒れた場所でその帰りを待っているようで、その姿に思わずウルウルした夜でした。
ミィの帰りを待っているかのようなスズ