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2025-02-08

境界明示は売主の責任

不動産の売買ではチェックしなければならないことがたくさんありますが
なかでも重要なのは隣地との境界です。

不動産は命の次に大切と言われる高価な財産です。
境界はその財産を守ってくれる、いわば「ガードマン」のようなものです。
われわれ不動産のプロは、現地調査のときに必ず境界を確認します。

境界は更地の場合、比較的容易に確認できます。
しかし、建物が建て込んで人が通るスペースがなく目視で
確認できないことも珍しくありません。

本来であれば境界は必ずあるはずですが現実はそうでもありません。
建築工事の際に邪魔になると建築会社が無断で引き抜いり
境界があっても頭の部分が欠けている、塀の下に埋もれていたりと
確認できないことは決して珍しくありません。

「境界、境界って言うけど、そんなものなくたって今までなにも問題なかった」

近所に住む息子さん夫婦と同居するため、自宅を売ることになったIさん。
境界がはっきりしていなければ、売主の負担で測量する必要があると
説明しましたが、不満げな表情です。

たしかにIさんが住んでいる分には問題ないかもしれません。
しかし、売買で所有者が変わると、問題が顕在化することもあります。

境界は隣地との境(道路との境も含む)の、すべてを明示しなければなりません。
一ヶ所でもはっきりしていなければ、土地家屋調査士に依頼して
隣地の立ち合いのもと境界を確定することになります。

判例では、不動産売買契約書に売主による境界明示の義務が記載されていなくても
売主はその責任を免れることはできないとされています。

「売主は境界を明示しません。買主はそれを承知のうえで買ってください」
このような特約が当事者間で合意されていない限り、境界の明示は
売主の責任というわけです。

とある中古住宅の取引のことです。
中古住宅の売買で引渡しについては現況のままという契約でした。

しかし、その家には境界がありません。
売主から売却を依頼された不動産会社の担当者は
「境界がないのも現況だから、境界明示の必要はない」と言います。

担当者は 現況渡しの意味を取り違えています。
現況渡しとは、土地建物を現在の状況そのままで引き渡すことで
境界明示の義務を負わないことではありません。

不動産は売るときも買うとき必ず境界を確認するのが鉄則です。