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2025-02-23

野良ネコ

その日、3月になったというのに外は冷たい北風が吹き
気温以上に寒い日でした。

窓際に置いたストーブの前で暖を取っていると
窓の向こう側からネコの鳴き声がします。

カーテンを開け外を覗くと見慣れない猫が、じっと
こちらを見ています。

薄汚れたその体はやせ細り、まともに食事が取れていないのは
一目瞭然でした。

首輪もついていません。たぶん野良ネコでしょう。
この寒空の中、いったいどこからやってきたのでしょうか。

夫は犬は好きだけどネコは無理と言うけれど
とても追い払うなんてできません。

この寒さではなにか食べさせないと死んでしまうかもしれません。

そうかといってネコのエサが家に用意してあるわけでもなく
しかたなく冷蔵庫にあった牛乳をあげてみました。

ネコは最初のうちこそ警戒していたましたが
空腹には勝てないのか、やがて少しづつ牛乳に
口をつけ始めました。

わたしが傍に居るとゆっくり飲めないかもと
再び部屋に戻ると、あらら・・・
新たに子ネコが二匹現れて一緒に牛乳を飲んでいます。

どうやら親子のようです。

夫は嫌がりましたが元気になるまでという約束で
家に上げることにしました。

夫がペットフーズを買ってくる間に即席でネコの巣を
作っていると、当時、保育園児だった娘が「かわいい」
と目を細めその場から離れません。

その日を境に我が家はネコが中心の生活になり
夕食時にはネコのことで話題が尽きませんでした。

ネコが居候してから二週間過ぎました。

娘は保育園から帰ってくると真っ先にネコに駆け寄り
「ただいま」とあいさつします。

遊び盛りの子ネコは家の中を走り回っています。
もう、この子たちが家からいなくなるなんて考えられません。

夫に「このまま飼うけどいいでしょ」と言うと
責任持って世話するならいいよと恰好つけたようなこと
言ったけど、きっと本人もこのまま飼いたいと思っていた
と思います。

あれから45年が過ぎました。

保育園児だった娘は、やがて一児の母親となりましたが
娘も孫もネコ大好き人間です。

ネコが苦手だった夫もいまではすっかりネコ派になりました。
ネコだって犬だって飼えば可愛いくなるものですね。